怒りやストレス軽減に効果的「シータリー呼吸法」
命を授かった瞬間から人生の最期まで絶えず行っている呼吸。当たり前すぎて意識することは少ないかもしれませんが、ヨガはこの呼吸を大切にしていることは皆さんもご存知ですよね。
ヨガの中では呼吸法といい、普段意識せずに行う呼吸をあえて意識してコントロールする練習方法がいくつか存在します。今回はそのなかのひとつ、「シータリー呼吸法」を取り上げますね。
シータリー呼吸法は、
・イライラ、怒りがち
・体のほてり、だるさを感じる(感じやすい)
・ストレスフリーになりたい
・夏バテ体質
などといった状況に効果的。シータリー呼吸法の効果についてはこの後、しっかりとお伝えしますね。それでは、シータリー呼吸法のやり方や効果などからご案内いたします。
古来インドの夏バテ対策。シータリー呼吸法とは
通常、ヨガの呼吸法は鼻から息を吸い、鼻から息を吐く鼻呼吸ですが、シータリー呼吸法は口から息を吸い、鼻から息を吐く珍しい呼吸法。そして、特徴的なのが舌の使い方です。舌をアルファベットの「U」の字にして、ストローのように息を吸うのですが、実際に行ってみると、ひんやりと冷たい空気(風)が口の中からのどへ流れ込んでくるのが分かると思います。
実はこの冷たい空気(風)こそが、シータリー呼吸法のキーポイント。
シータリーとは「熱を冷ます」「冷たい」という意味があり、気温が高いヨガ発祥の地と言われるインドでは、舌をストローのように活用することで冷たい空気を体内へ取り入れて、暑さによって高まった体温を下げて、喉の渇きを抑えていました。そして、これもまた実際に行うと分かるのですが、鼻から吐き出す息は温かいんですよ。この温かい空気は「ほてり・熱さ」。吐く息と一緒に体外へ排出してクールダウンしていたということですね。
つまり、シータリー呼吸法はインドにおいて古来から行われていた伝統的な「夏バテ対策・熱さ対策」というわけです。
シータリー呼吸法の効果
シータリー呼吸法で得られるメリットは、身体の内側の熱を冷まし、喉の渇きを癒してくれることです。それと同時に、イライラして高ぶった心を鎮まり落ち着かせられることです。
暑い夏や場所、さらに、暑さでなんとなく苛立ったり、興奮したり、集中できないときにもおすすめですね。
夏におすすめされることが多い呼吸法ですが、心身のリフレッシュ・リラックス効果が期待できるという点において、シータリー呼吸法はストレスマネジメントツールと捉えることができますよね。夏に限らず、臨機応変に日常生活に取り入れてストレスケアしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、現在のハタヨガの原型と言われている教典『ハタヨガ・プラディーピカ』によると、腹部の病気や熱、渇きや飢えを取り除くと記されています。
シータリー呼吸法のやり方
- ラクな姿勢で座り、上半身はリラックス。息を吐き出します。
- 舌先を少し出し、ストローのように丸め「シー(スー)」と音を立てながら、ゆっくりと息を吸います。
- 冷たい空気が入ってくるのを感じながら、口を閉じて鼻から暖かい空気をゆっくりと吐き出します。
- 2と3を繰り返し行います。
シータリー呼吸法のポイント
慣れるまでは苦しいかもしれません。あくまで呼吸法ですから、苦しいのを我慢し続けてストレスになったり、呼吸が浅くなっては本末転倒です。最初のうちは回数にこだわず、少しずつゆっくりとしたペースを心がけて行いましょう。また、吐く息を長くできるように練習を重ねてみてください。
舌を丸められなくても大丈夫!「シート・カーリー」
シータリー呼吸法の舌の形ができなくても大丈夫です。その場合は、舌先を口から出して同じように行っても構いません。そして、もうひとつおすすめする呼吸法が「シート・カーリー」です。どんな感じかというと、『お父さんがつま楊枝で歯をシーハーシーハー』するあの姿、漫画の一コマにありそうなアレです(笑)。シータリー呼吸法と同じ効果が期待できますよ。
シート・カーリーのやり方
- ラクな姿勢で座り、上半身はリラックス。息を吐き出します。
- 上下の歯を合わせ、口を「イー」と横に広げます。
- 歯の間から息を吸い込んで、「シー」と音を立てましょう。冷たい空気が入ってくるのを感じます。
- 口を閉じ、鼻から暖かい空気をゆっくりと吐き出します。
- 2~4を10~20回繰り返します。
舌の位置を気にしよう。シート・カーリーのポイント
口を横に広げるときは口角を上げるように行い、舌先は前歯と上あごの境目に置いて安定させましょう。舌が浮いていたり下がっていたりすると首や肩回りに力が入って呼吸が苦しくなります。
一見、「かたち」は合っていても舌の位置が異なると横隔膜や肺の動きが乏しくなるため、シート・カーリーの効果が半減してしまうのです。呼吸法初心者さんや肩こりさん、頑張り屋さんにみられることが多いので、口角と舌の位置を意識してみてくださいね。
いつ、どんな時に行うのがおすすめ?
さて、呼吸法のやり方とポイントを学んだところで、普段の生活においてどのような時や場面で取り入れるといいのでしょうか。
シータリー呼吸法は身体の熱を冷ます効果があるので、暑い夏や身体に熱がこもってぼぅーっとする時などに行うと良いでしょう。
また、自律神経を整えるのにも効果的です。イライラや不安などのストレスを感じるときや、仕事がはかどらないなど気分転換をしたい時にもおすすめです。部屋の空気を換気するかのように頭の中がすっきりクリアに!リフレッシュすることができます。
反対に行わない方がいい場合もあります。シータリー呼吸法は口から息を吸うため、空気が汚い場所では行わないようにしましょう。呼吸器系の疾患をお持ちの方や身体が冷えやすい方も控えるなどの注意が必要です。
呼吸法(プラーナヤーマ)を行うメリット
呼吸は「その時の心の状態・身体の状態を表す鏡」だと、聞いたことはありませんか。例えば、仕事で重要なプレゼンや締め切りを控えている時の身体は緊張して硬くなり、頭痛が起きたりして、心の面ではプレッシャーを抱えて余裕がなくなります。その時の呼吸は必ずといっていいほど浅くなっていたり、とても速い呼吸になっていたりします。
身体・心・呼吸は繋がっており、常に相互作用する存在。心や感情をコントロールすることはなかなか難しいですが、心と繋がっている呼吸をコントロールすることは取り組みやすくて簡単ですよね。
まとめると、呼吸法を行うメリットは呼吸をコントロールすることで心の健康・平穏な状態を保つことができ、なおかつ、周りの状況や情報、噂話などストレスに振り回されない自分軸を育てることに繋がります。
自分のペースでOK。呼吸で穏やかな気持ちを取り戻そう
ここではシータリー呼吸法を取り上げましたが、ヨガの呼吸法は『今の自分の状態(身体・心・思考)を教えてくれるものさし』だと、わたくし筆者は考えており、日常生活に取り入れています。「あぁ、今の自分はこういう状態なんだな」と気付き、そこでああしよう、こうしようと執着せずに気付いたらそれっきり!そこでサヨナラをします。これを繰り返しているうちに、大変な事が自身に起きても動揺しなくなります。動揺してもすぐに客観的になって見つめて行動できる自分が居るので、呼吸法を取り入れることは結果、自信に繋がりますよ。
ストレスや不安を抱くことが多い昨今だからこそ、日常生活の中やヨガの練習の最後に呼吸法を取り入れて穏やかな気持ちを取り戻しませんか。
ひとりでは意識するのが難しくて続かない場合はぜひ、ヨガが習慣になると人気のclassmall(クラスモール)で一緒に取り組みましょう。インストラクターの丁寧な誘導とやわらかい声と心地よいスピードのおかげで、ひとりでもご自宅から安心して呼吸を深めることができますよ。