経絡ヨガとは?他のヨガとどう違うの?
足つぼやマッサージなどでも話題に上がり、日本ではどちらかというと馴染みのある「経絡」。東洋医学の一つの概念である経絡の考えをヨガに取り入れたものが「経絡ヨガ」と呼ばれています。
東洋の生活の知恵を取り入れ、気の流れを意識したヨガで、日本の四季を意識したライフスタイルを提案しているのです。
「経絡ヨガ」では、基本的に経絡の流れを意識したポーズや、ツボを刺激することを意識したポーズを行います。東洋医学が専門の鍼灸師がヨガインストラクターをしているなんてことも。
「経絡ヨガ」は、様々な年代の人に人気です。季節を意識した食事やライフスタイルを楽しみたいなら、試してみることをおすすめします。
経絡ヨガの基礎となる東洋医学とは?
まずは、経絡の元となる東洋医学がどんなものなのかを見ていきましょう。
東洋医学は、身体の自然治癒力を引き出し、心と身体のケアをすることを目的としています。
古代中国で生まれ、約2000年の歴史がある東洋医学は、日本へ7世紀ごろに伝わってきました。「取れなかった痛みが鍼灸師の針のおかげで良くなった」など、聞いたことありますよね?日本でも古くから親しまれてきた医療で、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
東洋医学は”陰陽五行説”や”気血津液”を基本の考えとしています。詳しく見ていきましょう。
陰陽五行説とは
すべてのものは陰と陽に分けられ、バランスをとって存在しており、そのバランスが崩れると不調などを引き起こすと考えられています。自然界のあらゆるものは「木・火・土・金・水」の5つに分けられ、それぞれに違う特徴を持っていながら、互いに支え合い、抑えあうことでバランスを保っているのです。
気血津液とは
気血津液は身体の流れを指し示しているものです。体調を維持するためには、3つの要素「気・血・水(リンパ液など)」が重要だと考えられており、これらが滞ると不調となって現れるとされています。この「気・血・水」の流れを表しているのが経絡です。
東洋医学では、バランスを重視し、一部を見るのではなく全体を見るように考えられています。痛みが出ていながらもどこが原因かわからないという人などの治療にも役に立てられているのです。
全てが繋がり作用しあっていると考えるヨガの考え方にも近い印象を受けませんか?
東洋医学とヨガの関係とは?
それでは、東洋医学とヨガの関係を考えてみましょう。
東洋医学の気は、ヨガでいうプラーナと言うことができます。プラーナは生命エネルギー・身体を巡っているものです。
ヨガでは、心と身体は繋がっており、心を整えることで身体も整えることができるとしています。これは東洋医学の全身を診る考えに近いように感じます。
また、東洋医学での不調を取り除くポイントでもヨガが有効的と考えられそうです。詳しく見ていきましょう。
東洋医学でいう「気」=「プラーナ」が不足すると、以下の症状が出やすいとされています。
- 疲労や倦怠感
- 不眠
- 動悸や息切れ
- 汗が出やすい
気を補うためには、睡眠・食事・呼吸・適度な運動などが必要とされています。ヨガなら呼吸と適度な運動が十分に補えますよね。
このように、東洋医学とヨガには、近い考え方が存在します。実際に経絡ヨガの他に、陰ヨガにも東洋医学の考えが取り入れられています。相乗効果でより面白いものに発展して欲しいですね。
陰ヨガについて詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。
経絡ヨガのもたらす効果とは?
「経絡ヨガ」は、体調を改善する効果のあるツボや経絡を意識して、ヨガのポーズを行います。全身のツボや経脈とヨガの関係など、健康に過ごすポイントも同時に学ぶことができます。
それでは、効果について詳しく見ていきましょう。
免疫力を向上
ストレスは、自律神経を乱し免疫力を下げるだけでなく、不調を招きます。ストレスのコントロールには、肺の経絡にアプローチして、呼吸を深めることが大事とされています。呼吸を深めることは、免疫力の向上に繋がるでしょう。
日本放送のニュースONLINEで、東京都医師会理事・順天堂大学総合診療科教授の小林弘幸氏が以下のように解説しています。
人間には重要なものが2つあり、それは食事と呼吸です。これがないと生きて行けない。呼吸を司るのは肺ですが、その肺を鍛えることで、血液の質も上がります。免疫力も上がるし、悪いものは外へ出て行くため、体にとっていいことばかりなのです。
https://news.1242.com/article/292484
自律神経のバランスを整える
経絡では、百会のツボを押すと自立神経を整える効果があると期待されています。また、全身の巡りを促進してくれ、頭の重だるさや不眠などにもおすすめのツボです。ウサギのポーズなどでゆっくりと刺激をしてあげましょう。
腸の活性化
便秘などの腸の不調にきくツボはおへその横の下腹部辺りや、背中の腰あたりにあります。ツイストなどのポーズで、ねじりを入れてツボを刺激してあげましょう。親指と人差し指の間の合谷も一緒に押してあげるとより効果的。便秘解消の効果が期待できます。
疲労感の解消
ヨガを始めるときに疲労回復に効果のある足裏の湧泉のツボを刺激してあげましょう。足裏がしっかりと伸びるダウンドッグなども効果的です。側頭部を押しながら側屈するのもおすすめです。
むくみ・冷えの改善
脚のむくみや冷えは血流が滞っていることも原因です。血行を促進する「足三里(あしさんり)」のツボを押してふくらはぎを動かしてあげましょう。むくみや冷えの改善に効果が期待できます。
片頭痛の抑制
季節の変動などで片頭痛に悩む人もいますよね。魚のポーズで百会のツボや後頭部の髪の生え際にある天柱などのツボを刺激してあげると効果的と言われています。頭痛がないときに行うことがポイントです。
経絡ヨガでは、自然治癒力、自己免疫力を高めることを目的としています。ヨガのポーズで様々な症状にに関わるツボを圧迫し開放することで、その効果を実現していきます。
経絡ヨガのポーズを紹介
ツボの位置を確認しながら、ヨガのポーズを取ってみましょう。
ワシのポーズ
肺の気の流れを良くするツボを刺激して、呼吸を深めます。ストレスの改善にも効果があります。
ツボ:中府
位置:鎖骨の外端下のくぼみからさらに親指1本分下のところ
- 両手を腰において、両膝を曲げる
- 左足を右足にのせて、左足のつま先を右足のふくらはぎにかける
- バランスを取りにくい場合は、無理にかけなくても良い
- 両手を前に出し、左手を下にして肘までをクロスさせる
- 肘を重ねたまま、肘を90度曲げ右手の甲と左手の甲をつける
- 左手の平を回して右手の平に合わせる
- 背筋を伸ばし、ポーズをキープする
- 余裕があれば、肘を上に軽く引き上げる
- 10呼吸ほど繰り返す
両肘を組めない方は、左手を右の肩に、右手を左の肩にと置き肘を重ねあいましょう。バランスが難しい方は座ってやる方法も。仕事中にストレスを感じて呼吸が浅くなっているなと感じたときなどにおすすめのポーズです。
うさぎのポーズ
全身の血流を良くしてくれる百会のツボを刺激。不眠の改善や片頭痛の予防に効果的と言われています。
ツボ:百会
位置:両耳を結ぶ線と眉間からの中心線が交わるところ
- マットに四つん這いになり、両手を少し手前におく
- 頭頂を両手で三角形を作るように、頭をマットにつける
- 頭頂を前後・左右に軽く転がしてマッサージをする
- 頭頂が痛くなければ、両手を後ろに伸ばす
- 呼吸に意識を向けて、5〜10呼吸キープする
- ゆっくりとお尻をかかとにおいてチャイルドポーズで休む
おでこではなく、あごを引いて頭頂をつけましょう。頭頂が痛い時は両手を頭の横に置いたままで行います。自律神経を整え、リラックスする効果も期待できます。
つま先立ちスクワット
足の親指周りには様々なツボがあります。今回は隠白というツボを刺激してあげましょう。生理痛にも効果があるとされています。末梢血管を刺激し、足先を温めてくれる効果も。
ツボ:隠白
位置:足の親指の外側にある爪の付け根部分
- 両手を腰に置いて、両足を開いて立つ
- 背筋を伸ばして、腰を落とす
- かかとをあげてキープする
- 膝を前に曲げすぎないように気をつける
- 10呼吸キープする
お尻が後ろに出てしまうと効果が半減してしまいます。スクワットが辛い人は両手を椅子の背などに置いて行うと良いでしょう。ふくらはぎも使うので、むくみ解消にも効果が期待できるポーズです。
東洋医学を取り入れて、不調知らずな身体になろう
classmall(クラスモール)では、様々なヨガのレッスンを開催しています。好きなレッスンを予約できるので、自分のペースで行うことができるのです。すっきり起きられない、だるい、いつも眠いなど季節の変わり目の体調不良などが気になる方には、ぜひヨガをおすすめします。
東洋医学は、ヨガにも近い考え方。日本の生活にもなじみやすいライフスタイルを提案してくれます。季節に応じて過ごすことで、不調知らずになりませんか?
ヨガを行うなら、週に3回程度続けていくと効果が見えやすいです。定期的にレッスンに参加してみてくださいね。