ムドラーと聞いても、あまりピンとこない方が多いのではないでしょうか?「なんとなく聞いたことがある気がする」といった方がほとんどかと思います。ですが、実はムドラーは普段のヨガの所作のなかで自然と行っているものなのです。
例えば、よくヨガレッスンの前後に合掌して挨拶をしますよね。合掌をすることで少し気持ちが落ち着いた、という感覚を味わった方もいらっしゃるのではないでしょうか?実はこれもムドラーのひとつで、ヨガの重要なテクニックとされています。
ムドラーには手や足といった身体の一部や、身体全体で表すものがありますが、今回は、手で表すムドラーの種類や意味について詳しくご紹介していきます。
ムドラーとは?
ムドラー(Mudra)とは、サンスクリット語で「印」や「象徴」を意味し、エネルギーの流れを良くする効果があると言われているテクニックです。エネルギーの交差点であるチャクラを刺激することで、チャクラを開きエネルギーを流れやすくしています。
チャクラというのは人間の生命や肉体、精神の働きをコントロールすることができる「気=プラーナ(生命エネルギー)」の出入り口のことです。ムドラーにはチャクラを刺激する効果があるとされています。チャクラはプラーナの出入り口なので、閉じているとプラーナが通ることができず気分が落ち込んでしまったり、病気になってしまったりすると言われています。
そのチャクラを刺激し、プラーナの流れを良くするものがムドラーです。
具体的には、手を様々な形にすることでその「印」や「象徴」を表現します。
5本の指が象徴するもの
ムドラーには様々な形があり、使う手の指によって刺激するチャクラが変わるとされています。ここではその5本の指のそれぞれの意味についてご紹介します。
親指
ブラフマン(神・宇宙・最高原理)
親指が表すものはブラフマンです。ブラフマンとは、宇宙全体の根源を指します。宇宙の創造主であり、全ての原因です。
インドで発祥した古典ヨガは、このブラフマンとの融合を目指して行うものでした。
人差し指
アートマン(心・自我)
人差し指は、アートマンを表しています。アートマンとは、私たちの本質の意識である我です。自我や霊魂を意味しています。ブラフマン(神・宇宙・最高原理)との融合を目指しているのがこのアートマン(心・自我)です。
中指
サットヴァ(明るい・調和・純質)
中指が表すのはサットヴァです。サットヴァとは、純粋性や調和を意味しています。否定性のない純粋でクリアな状態です。
薬指
ラジャス(活動的・激質)
薬指はラジャスを表しています。ラジャスとは、動性や激動を意味しています。激しい動きで落ち着かない状態です。
小指
タマス(動きのない・暗質)
小指はタマスを表します。タマスとは、怠惰や無活動を意味しています。動きがなく暗い状態のことです。
中指、薬指、小指が表すものはこの世界のあらゆるものの性質です。この世界のものすべては3つのグナと呼ばれる性質に分けられ、それぞれサットヴァ、ラジャス、タマスと呼ばれています。
代表的なムドラー
ヨガレッスンでもよく行われる代表的なムドラーをご紹介します。
アンジャリムドラー
最も馴染みのあるムドラーです。両手の平を合わせたいわゆる合掌をアンジャリムドラーと呼びます。インドでは、右手は神聖なもの、左手は不浄なものとされていますが、これらを合わせることによって人間の本来の姿へ戻るとされ、自分の内に帰ることを思い出させてくれるムドラーと言われています。
このアンジャリムドラーは最初と最後の挨拶や、太陽礼拝、月礼拝などの際に行われます。
チンムドラー
こちらもヨガレッスンのなかで何気なく行うことの多いムドラーです。親指と人差し指を結んで輪を作り、中指・薬指・小指はそのまままっすぐ伸ばします。
ブラフマン(神・宇宙・最高原理)を意味する親指と、アートマン(心・自我)を意味する人差し指を結び付け、世俗を意味する中指・薬指・小指とは引き離しています。ヨガが最終的に目指す「最高原理と自我との融合」を表します。また、親指と人差し指は輪になっているのでエネルギーが循環し、身体から出ていかないと言われています。
チンムドラーは瞑想の際によく行われるムドラーです。
パドマ(ロータス)ムドラー
蓮の花を意味するムドラーです。その名の通り手で蓮の花を形作るように、手首を合わせたら親指同士と小指同士を合わせ、人差し指・中指・薬指はやや曲げてふっくらとした形を作ります。
親指がブラフマン(最高原理)で小指がタマス(動きのない・暗質)を意味しますので、泥に根を下ろして美しい花を咲かせる蓮の花が表現されています。蓮の花が膨らみ、穏やかな落ち着きと共に周囲の人への慈しみの心が湧いてくるムドラーです。
ヴィシュヌムドラー
右手の人差し指と中指を内側に折り曲げ、残りの指はまっすぐ伸ばして形作ります。
ヴィシュヌには「遍く満たす」という意味があり、呼吸法の際に用いてプラーナ(生命エネルギー)をいきわたらせます。このヴィシュヌムドラーを用いる呼吸法は片鼻呼吸で、右手の親指で右鼻をそっと塞ぎ、薬指と小指で左鼻をそっと塞ぐことを交互に行ってプラーナ(生命エネルギー)の流れを整えます。
ムドラーを取り入れてヨガを深めよう
普段何気なく行っているムドラーですが、ムドラーの意味を知ることで瞑想を深めたりポーズの効果を高めたりすることができます。
ここでご紹介した代表的なムドラーはヨガレッスンでもよく行われるものですので、ぜひレッスンの際にはその意味や効果を思い出しながら行ってみてください。瞑想やポーズがいつも以上に深まるのを感じられるのではないでしょうか?
また、ムドラーには他にもたくさんの種類があるので、色々調べて自分に合ったムドラーを見つけてみるのも面白いかもしれません。
オンラインレッスンなら気軽にヨガにチャレンジできる
ムドラーについてご紹介してきましたが、ヨガの深い思想を感じていただけたのではないでしょうか?ヨガは単なる運動ではなく、心にも良い働きをもたらすものです。
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一人では瞑想に集中できない!という方は、ぜひレッスンで練習してみてください。オンラインレッスンなら自宅でできるので、集中しやすい環境を自分好みに作れるのも嬉しいポイントですね。
今度ムドラーを実践する時は、手の形、指の意味を思い出してみてくださいね。学びを深めてヨガをもっと楽しんでいきましょう!