心と体の疲れを感じたら、完全呼吸法でリセットして自分を取り戻す

ヨガの呼吸法の一つ、完全呼吸法

レッスンや瞑想の前に、乱れた呼吸と緊張した気持ちを落ち着かせ、精神や体を安定させる目的で行う呼吸法。今回はその中の一つ、完全呼吸法を紹介します。大きく息を取り入れ吐き出すことを繰り返し、呼吸と心のバランスを取り戻します。

ストレスを感じやすくなった。なんだか気分が乗らない。眠りも浅く自律神経が乱れている。と感じたら、この呼吸法を取り入れてリフレッシュしましょう。仕事の休憩時間に集中力を維持するために。そして、夜寝る前に心と息を静めてぐっすり寝るために。今日も穏やかに過ごせるように呼吸も整えていきましょう。

ヨガの呼吸法のメリット

完全呼吸法に限ったことではありませんが、ヨガの呼吸法はより多くの酸素を取り入れ、体内の二酸化炭素を出来るかぎり吐き出します。また、緊張、不安、怒りの感情で乱れた呼吸を一定のペースに戻すことで、以下のような効果があると言われています。

  • 心をクリアにし、マインドフルネスを向上させる

完全呼吸をすることで酸素摂取量が増え、体の二酸化炭素を一掃します。それにより、脳と神経系にいい影響を与えます。することに集中させるヨガの呼吸法。ネガティブな思考から距離を置き、気持ちを落ち着かせてくれます。そのことから、ストレスや不安を軽減すると言われ、また、感情のコントロールが出来るようになり、マインドフルネスの実践にも効果があると言われています。

  • 肺を強化し免疫力を高める

肺の機能と肺気量を向上させ、より深い呼吸ができるようになります。深い呼吸は自律神経を整え副交感神経が優位にし、血管が拡張して血行が良くなります。 その結果、血中の白血球の比率が上昇し、免疫力の向上につながると言われています。

  • 内臓のマッサージ効果

完全呼吸法は意識的に横隔膜やおなかの筋肉、腹横筋、腹斜筋を動かします。おなかを膨らませたりへこませて、内臓のマッサージを行い、便秘の解消や消化器の機能を高める効果があると言われています。

完全呼吸法の要素、3つの呼吸

完全呼吸法は、サンスクリット語で「ターガ プラーナヤーマ」と言い、腹式呼吸、胸式呼吸、鎖骨呼吸を合わせて行う方法です。息を吸いながら、おなか、胸、鎖骨の順で膨らませ、息を吐きながら、鎖骨、胸、おなかの順でつぼませます。まずは完全呼吸を始める前に、それぞれの呼吸法で体を慣らしていきます。

腹式呼吸

横隔膜を使って行う呼吸法。息を吸うときにおなかを風船のように膨らませ、息を吐くときはおなかが背中にくっつくイメージでへこませます。呼吸のペースは4秒で吸って、8秒で吐くようにしましょう。おへそから5cmほど下の丹田を意識しながら動かします。

胸式呼吸

胸郭を使って行う呼吸法。ろっ骨の隙間を一つずつ空けて、横に広げながら息を大きく吸い込みます。息を吐くときは外側から内側へ徐々に狭めていきます。胸式呼吸は意識的に横隔膜を使いません。呼吸のペースは腹式呼吸と同じ4秒で吸い、8秒で吐き切ります。

鎖骨呼吸

鎖骨呼吸は胸の上部でします。激しい運動の後や息が切れるときにしている呼吸です。鎖骨呼吸は単独で行うことは難しいので、胸式呼吸と一緒に行います。鎖骨を持ち上げて息を吸い、鎖骨を下げながら息を吐きます。呼吸のペースは胸式呼吸と同様に、吸った時間の2倍をかけて息を吐きましょう。

深い呼吸に体が慣れたら実践します

完全呼吸を行うときは、あぐらの姿勢や椅子に座り、骨盤を起こして背筋を伸ばします。また、仰向けでもできます。猫背や反り腰のまま行わないように気を付けましょう。骨盤が後ろに傾きやすいときは、座布団やブランケットを敷いてします。腹式呼吸や胸式呼吸と同様に、吐くときは息を吸う時間の2倍かけてゆっくりします。一定のテンポでできるようになると、全身で呼吸をしているように感じられますよ。もし、途中でリズムが乱れてしまったら、自然な呼吸に戻します。息が落ち着いたら再開しましょう。

完全呼吸法のしかた

  1. おなかをへこませながら、ゆっくり息を吐き切る。
  2. 次に息を吸いながら、おなかをゆっくり膨らませる。
  3. そのまま続けて、胸を横に広げながら息を吸い込む。
  4. 最後に鎖骨を持ち上げながら息を吸いきる。
  5. ゆっくりと鎖骨を下げながら、息を吐く。
  6. 続けて息を吐きながら、広げた胸をすぼめる。
  7. そして、おなかをへこませながらゆっくりと息を吐き切る。
  8. 手順2~7を5,6回繰り返す。

その日の感情によって、実践しづらいときもあります。そんなときは、腹式呼吸だけ、胸式呼吸だけで終わらせます。そして、呼吸は吐くことだけに集中します。吐き切ることで自然と息が入ってきますよ。自分がリラックスできる状態で、無理をせずに行うことが大切です。様子を見て、落ち着いてきたら完全呼吸を行いましょう。

呼吸法のあとに心身の変化を観察する

呼吸と体の変化を感じてみます。呼吸しやすくなった、体の芯からぽかぽかしてきた、気持ちがスッキリしてきた、心が穏やかになってきたなど、静かに様子を見守ります。これをヨガでは内観と言い、自分の内側で感じたこと、気づきを大切にします。

完全呼吸法で気を付けること

普段の呼吸と異なるので、ある程度の注意を払って実践する必要があります。以下のことに注意しながらご自身のペースで行いましょう。

いきなり実践しない

普段の呼吸からいきなり完全呼吸をすると体に負担をかけます。まずは腹式呼吸や胸式呼吸から始めて、段階を踏んで行いましょう。また、息があらいまま実践したり、間違った方法で行うと、呼吸器系や神経に負担を与える危険性があるので注意が必要です。静かな場所で座った状態で行いましょう。

鼻呼吸で行う

鼻から息を通すことで、空気中のほこりや雑菌などが取り除かれます。また、体温に近い温度で空気を体内に入れ込み、湿度も鼻を通して適度に保つことができます。口呼吸ですると喉や口が乾燥し、風邪や喉の炎症を引き起こしてしまうので気をつけてください。

部屋の換気をする

呼吸法は新鮮な空気の中で行うのが望ましいと言われています。たくさん息を吸い込むので、空気が悪いところはおすすめしません。よどんだ空気、強い臭いがするところ、風の強い屋外は避けましょう。呼吸が乱れて実践しづらくなります。部屋の換気を十分にしてから行いましょう。

食後は避け、妊娠中、生理中は控える

完全呼吸法は上体を膨らませたり、へこませたりするので、食後2~3時間以上空けてから行いましょう。また、血行を促進させるので、生理中、妊娠中の人は、経験のある指導者のもとで行うことをおすすめします。そのほかに、目や耳、内臓に疾患がある人、高血圧の人も注意が必要です。かかりつけのお医者さんにご相談してください。

完全呼吸法でリフレッシュできたら

classmallでオンラインレッスンをしましょう。完全呼吸法でヨガに集中できる状態を作ってから瞑想のクラスに参加するのもいいですね。classmallでは瞑想やマインドフルネスのレッスンも開催しています。好きな時に好きな場所で受講できるので、都合にいい時間にレッスンに参加できるのは魅力的です。

呼吸と感情はつながっていると言われています。気持ちが疲れていたり、緊張していたり、感情が不安定なときは、呼吸が浅くなっているかもしれません。そんなときは、この呼吸法で気持ちを落ち着かせてください。しているうちにネガティブな感情が和らぎ、冷静に自分の気持ちに向き合うことができます。

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投稿者: さぼやま ともみ

ヨガ歴15年以上のインストラクター。週末のホットヨガから始まり段々とヨガの魅力にハマる。ダイエット成功後にヨガでケガをすることが増え、悩んでいた時にYoggy InstituteでRYT200を取得。その後認定インストラクターへ。ケガでヨガを諦める人を救いたい! そんな気持ちから少人数レッスンやSNSでケガをしないヨガの体つくりを広める活動をしています。